むち打ちによる障害

むち打ち症候群の定義は意見が分かれるところですが、

一般論では交通事故、

通常は追突事故を受けた後に生じる症候群であり、
その症状は次のように多彩で、
かつ、色々な組み合わせで起こるものです。

  1. 整形外科的障害 – 頚部痛、動きの制限
  2. 神経障害 – 知覚障害、しびれ
  3. 聴覚障害 – 耳鳴り、聴力低下
  4. 耳鼻咽喉科的障害 – 嚥下障害、発語困難
  5. 平衡障害 – 回転性めまい、非回転性めまい
  6. 歯科領域の障害 – 咬合障害、顎関節痛
  7. 神経心理学的障害 – 不安神経症、注意力散漫

患者の訴えは、受傷と同時に始まり、
数カ月続いたり数年存続しうるので、
いかにして慢性化を防ぎ、集中的に診療を行うかということです。
むち打ち損傷は、
たとえ頭部が物体に接触していなくても真の頭部外傷です。

「むち打ち症」と「脳脊髄液減少症」の関係

日常臨床の中で柔道整復師である我々が、
取り扱う機会の多い「むち打ち損傷」ですが、
その病名の由来も頭部の慣性重量に抗して後方からの追突外力により、
頚椎がまるでムチを打つように撓り(しなり)損傷する受傷機序と、
さらに英名「WHIPLASH INJURY」の和訳そのものからの呼称病名です。
あくまでも頚椎周辺の骨関節、靭帯、関節包等々の
微細な損傷と定義付けられ、
脳外科や脳神経外科、神経内科、さらには難治であることから精神科などの
関連診療科の併療も大病院などでは一般的に行われているところです。

我々接骨院では「頚椎捻挫」「頚部捻挫」「背部挫傷」などの病名・傷名の下、
比較的安易に取り扱われている現況です。
「むち打ち損傷」の最新治療のトピックスとして、
難治で長期に亘る「むち打ち症」の中に脳神経外科領域の「脳脊髄液減少症」
との関連が看過できないという報告がなされています。

「脳脊髄液減少症」とは、一般的に想像されているよりもいとも簡単に、
「むち打ち損傷」などの頚椎や腰椎への軽微な外傷で硬膜に
ピンホール状の穴が開き、脳室および中枢神経系を囲む閉鎖空間を
満たす髄液がそこから漏れ、浮遊している脳が降下して
頑固な神経症状を呈する疾病です。
確定診断は造形MRI
RIシンチグラム(放射性同位元素を使ったスキャン検査)で
医師が判断しますが、一般的な頚椎損傷の「むち打ち損傷」との臨床鑑別は、

(1)起立性頭痛
(2)頑固な頭痛とめまい
(3)異常な倦怠感や集中力の低下
(4)夕方以降の不調
などです。

より特徴的なのは、横になって寝ていると症状が軽減しますが、
起立位で脳が重力で下降すると顕著な症状が出現するということです。
「むち打ち損傷」が難治で難渋している患者さんに対し、
直ぐに「精神的なもの」や「心気的なもの」だとか断定せずに脳神経外科を紹介し、
診療していただくとよい結果が得られる事もあります。